動く土 動く植物
企画/村山修二郎
東京ビエンナーレ2020/ 2021:参加
動く土 動く植物とは
都市部ではアスファルト上で人が歩き生活する中で、植物を身近に置く場合、植木鉢やなんらかのケースに土と植物を入れることになります。それはまさに、動かすことを前提に、簡易的な植物の生きる場所が限られていることに他なりません。しかし、それが現代の自然と人との関係の象徴でもあり、それをネガティブに捉えるのでなくポジティブに都市部で植物達は生き抜いているのです。今プロジェクトの「動く土動く植物」も、人と人・地域が土と植物によりつながり寄り添う新たなコミュニケーションの種を育むように展開して行きます。
土と植物が動くことから
植物は常に動いて生きている。土は地殻変動と共に毎日動いて呼吸をしている。そして、私たち人間も遊牧するように移動しながら様々な地の恵みを享受しその生命を燃焼させている。
これらのことは、2007年に行った植物を巡るプロジェクトの活動中に意識化された。植物の遊動性があると言うこと、地に生かされていると言うこと、地が生きて動いていることを。
それは、地域の植物をくまなく見て行くとどんな状況であれ植物達は地から立ち上がっていて、成長と共にその生命の身体全体を燃焼させている。命を受け継ぐ仕組みの中で、確かに動いて種の伝承と進化を切実に放っている。草は靡き、種は飛び、木は音を奏で、根はじわじわと這い、花は香りを散布する。色んな動的手段で動き生きてつなげて来ている。
都市化した環境の中で現代人は、植物を現実として動かし身近に存在させようと必死である。都市部で植物や土はその動きをだいぶ制御されていると言える。土も呼吸をしたい中アスファルトで覆われてしまうと熱量の放出、水の浸透など芳しくない。植物も近くに仲間がいないとその種を繋いでいくことはなかなか難しい。
人は自然との対話の中で切実に植物を身近に置く手段として簡易自然とでも言うのか植木鉢や発泡スチロールの箱などに土を入れ苗や種を蒔く。そして愛でて、食したり、香りを嗅ぐのである。
そんな中、2007年に富山県の氷見市で道に面した軒先きに、台車に植木鉢を置いているお家を見つけた。良くみるとトマトを育てていた。朝起きて土間のあたりから出して来て、路地に置き、夕方に家に入れるような仕組みだった。この光景は印象深く、植物と土を能動的に動かし、人と自然が寄り添って現代の環境の中で生きる新たな仕組みに感じたのである。
東京都心の墨田区の路地園芸も、まさに都市で人が生き抜く手立てとして、動かせる様々な植物を創意工夫により路地を彩り、その光景は楽しさと切実さを必然として見せてくれていた。2010年に墨田区と台東区をつなぐように、移動式の路地園芸の屋台のようなものをつくり「移動式路地園芸術」として、2ヶ月間移動を繰り返し植物を介したコミュニケーションの実践を行なった。動いている、動かす植物のはじまりでもあります。
秋田県北秋田市にある、オープンガーデン森のテラス
土にふれ、土であそび、植物をそだて、根をおろし、すべてがつながる
2014月4月28日
はじめて北秋田の森のテラスを訪れた時の写真。
東京芸大教授の中村政人さんとアーティストの栗原さんと案内人の方。大館・北秋田芸術祭における様々な場所のリサーチで来ることになりました。
国道から奥深く道が続いていて、素晴らしい景色を横に見ながら、わくわくとした気持ちで歩く。
杉林を抜けると、池が現れ木製のデッキを順々に歩くなかで景色がダイナミックに変わっていく。
デッキを歩いていく先に、蔵がありその佇まいもシンプルで美しい。
雪深い場所の痕跡として木の壁が味わい深い。
美術館よりもすぐれたものがあると言える。
蔵は解放的なつくりになっていて、空間感がとても気持ちが良い。
アーティストである3人がリサーチに来て、感嘆とするばかり。
もうすぐ春が訪れる気配。
自然と建物とその環境のあり方にとても素晴らしいものを感じたリサーチであった。
2014年11月2日
秋田大学の学生さんが来て収穫と餅つきなどをおこなっていた。素晴らしい学びの環境と体感。
2014年11月2日
このオープンガーデンをデザインした、山田茂雄さんの話を学生が聞ける貴重な機会。この翌日、大館・北秋芸術祭は幕を閉じた。
2014年9月30日
前田小学校の子ども達が、森のテラスに来て、植物で絵を描く緑画ワークショップの体験をしていただいた。
2014年9月29日
前田小学校で、緑画の展示を行い、子ども達に制作や様々な活動のお話をスライドを見てもらいながら行いました。
2014年10月1日
森のテラスにあるダリアの花の捨ててしまう花をいただき、地元の七角山を描き、森のテラスで展示しました。
この豊かな場所、森のテラスさんのご協力とここの土が、東京都心の中できっと大活躍して何らかの気づきを生むことになるでしょう。
宮城県の南三陸YES工房
『 震災後、被災地の「雇用の場」と「交流の場」を目的に設立した南三陸復興ダコの会に加え、国際認証FSC材を使用した木製品開発及び製造販売事業を推進するために、新たに「一般社団法人南三陸YES工房」を設立しました。南三陸名産のタコをモチーフにしたキャラクターオクトパス君や養蚕の歴史を伝える繭細工、木工品を製作しています。自然の恵みを活用した「創る」「学ぶ」「繋ぐ」の新たな循環する取り組みを行っております。』
【YES工房沿革】
2011.6 南三陸復興ダコの会設立
2011.7 廃校となった入谷中学校をリノベーションし、「入谷YES工房」をオープン
2015.3 レーザー加工による木製品製造を強化し、ノベルティー商品や記念品事業に参入
2015.5 モノ作り体験教室をYES工房2階に開設。地元の子どもや女性たち並びに観光客を対象とした体験学習事業に積極的に着手している。
2017.7 ハンドメイド塾kick offイベント~スタート
2018.1 旧入谷中学校体育館をハンドメイド塾や体験学習を実施するための施設として改修整備。
2018.6.11 新会長大森丈広就任(前会長高橋修は名誉会長)
2019.5.5 一般社団法人南三陸YES工房設立(代表理事:大森丈広就任)
2019.7. 新たにCNCルターshopbot等を導入し、デジタル工作機を充実させながら、モノづくりとコミュニケーションを図る市民工房「ファブラボ」創設。
2020.4.6 YES工房が「FSC COC認証」を取得
YES工房さんにより、今回のプロジェクトの「動く鉢」を制作いただけることになりました。震災後に活動を続けて来られた工房から作られる木鉢が東京都心にて活躍していくと思います!